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【EX】ネタは手補給・手回収

ファースト摘発へ(08/07/29)


かなり久しぶりのことだが、パチスロメーカーがBモノで摘発された。メーカーはファースト。もともと岡山県の機械販売業者だったが東京に本社を移転し、5号機からパチスロ製造に参入。既に3型式が販売済みで計5型式の型式試験適合が確認できている。

通常は、Bモノの事件は機械販売業者やホール関係者が逮捕される。もちろんメーカーに無断でBモノ化させる連中もいるにはいるが、多くの警察本部は製造業者つまりメーカーの絵図面による事件であることを疑うので、捜査の大目標としては「メーカー関与を立件する」こととなるのだが、この立件はなかなか難しい。メーカー関与が疑われる事件でも立件を見送り、ホールと販社の摘発で終わり、というケースは多い。

こういうことから、メーカーそのものへの強制捜査や逮捕という事態は、本日、多くの業界関係者にビッグニュースとして伝わった。メーカー社長の逮捕は、大東音響藤川恵社長(当時)以来となるが、ファースト大島亨社長の逮捕状も出ているのである。

まずはニュースを確認するのが一番。時事通信が上手くまとめているので紹介。

パチスロ会社などを捜索=改造IC使用、社長ら逮捕へ−商標法違反容疑

大当たりが出る確率を高めに調節するなどしたIC(集積回路)入りのパチスロ機を製造、販売していたとして、茨城、新潟両県警などの合同捜査本部は29日、商標法違反容疑で、パチスロ機製造会社「ファースト」(東京都中央区)などを家宅捜索した。既に愛知県の販売会社幹部ら数人を同容疑で逮捕、ファーストの社長(41)らについても逮捕状を取っており、近く逮捕するとみられる。逮捕者は8人に上る見通し。

ほかに捜査本部を組んでいるのは、愛知、三重、沖縄の各県警。不正改造で店側が摘発される例はあるが、製造会社が強制捜査の対象となるのは極めてまれという。

調べでは、社長らは大当たりか外れが出る確率が高くなるように調整したギャンブル性の高い改造ICを自社で製造。このICに大手電機メーカーの商標を印字した上、同社製のパチスロ機に組み込み、茨城県内のパチスロ店に販売した疑い。

(2008/07/29 時事通信)


Bモノを商標法違反で摘発するのは一般的になりつつある(#054参照)。要するに「パクリ物」という考え方だ。ICにせよ何にせよ、製造元等に工業所有権があるのは当然のこと。Bモノとは「ノーマル(A)を改造したり、別のものに挿げ替えたりすることによって、出玉性能を変えたもの」であるから、商標法の罰則規定で対応できるということだ。

ただ、笑えないのだが、このファーストという会社、パクリメーカーとして有名になりつつあったということ。ICをパクったら商標法違反であるが、パネルデザイン(要するに機械のモチーフデザインそのもの)をパクることで業界の話題を集めていた会社なのである。

百聞一見だ。下記を見れば誰でもわかること。

まずは「ザ・ゴルフ−30(ファースト)」だ。今回の摘発劇のBモノはこれだというのが警察筋の話。



左はファーストのザ・ゴルフ。右は清龍ゲームジャパンのトリプルクラウン−30だ。聞くところによるとこのゴルフは「パクリだ」ということでトリクラ関係者と揉めたらしい。揉めるのもうなずけるほどトリクラを意識したデザインではある。

そして次はもうすぐ納品がはじまる予定だったマジシャンEX。



左がファーストのマジシャン。右は北電子のアイムジャグラーEX。マジシャンの型式名が「マジシャンEX」とあるのはパクリを公言しているようなもの。なお、この機種は設計値も酷似しており、ジャグラーの代名詞「GOGOランプ」は「GUGUランプ」である。パネルデザインからもこれは「エドはるみ」をももじっていることがわかる。

なお、このマジシャンには「キュイン」という告知音が搭載されているが、アイムジャグラー用の後付部品(その一部は確実に違法)に「キュイン」という告知音を出すものがある。そこまでジャグラーの将来を読んでいたのであれば、ある意味末恐ろしい。

もうひとつ紹介しておく。現在、都道府県公安委員会で検定を受けている「Wキャッツ」。販売する予定があったのかどうかは不明だが、これも上2機種と同様である。



左がファーストのWキャッツ。右はアークテクニコの「ワイルドキャッツ」。清龍ゲームジャパンや北電子とは違い、アークテクニコは今は存在しない。古い話だが強制捜査が入り、その後会社はなくなったのだ。

ここまでくると、ファーストは開き直っている、とも言える。むしろ「笑いを取る」ことを狙っているようにも見える。

で、不覚だったのだが「ファーストが商標法違反で摘発」という第一報を聞いたとき、Bモノではなくこっちの「デザインパクリの方か?」と思ってしまったのである。また、そのように考えた業界関係者も多いことだろう。しかし「Bモノとして」の摘発だった。まあ、デザインのパクリの方は注意深く見れば「パクリです」と公言しているような茶目っ気がある。偽ブランド品のような「完全に同じ」というものではない。

さて、これからどのようになるか、捜査当局次第ではあるが、時事通信によると茨城・新潟・愛知・三重・沖縄の5つの警察本部が合同捜査本部を置いたほどの大事件である。捜査本部が集める証拠次第ではあるが、何もなし、とは考えにくい。

Bモノの摘発の際、メーカー関与が疑われると、刑事責任立件とは別に検定取消処分がなされることが多い。この検定取消処分は「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」の規定によるものだ。

検定の取消しには、その後の扱いから1項取消し(技術的なもの)と2項取消し(不正関係、ともに11条)とに区別されている。#020を参照してもらえればわかるが、今は2項取消しの際の検定申請不可期間がそれまでの3年から平成16年の規則改正によって「5年」に延びているので注意を。

大東音響のときは、藤川氏は逮捕されはしたが起訴はされてはいない。日遊協を皮切りに業界団体から除名されていったのだが、3年間の検定申請不可期間を経て今は「藤興」として日電協の組合員メーカーでもある。

このことから、ひとつは「ファースト大島亨社長が起訴されるのかどうか」ということが分岐点になるだろう。ファースト広報はBモノへの関与を否定しているため、逮捕前後の取調べでも大島社長が容疑を否認する可能性はある。5つの警察本部が合同になろうがなるまいが、証拠が集まらなければセーフとなる。

この「起訴されるかどうか(起訴されたらほぼ有罪となるのが日本の司法)」と「検定取消処分になるかどうか」とはリンクはしていない。いや、正確に言えば「刑事責任が確定する前の不利益(行政)処分はいいのか?」という問題も裁判で争われることがあるが、「刑事責任と行政処分は別」という縦割り的な運用は珍しくはない。

ゆえに、もうひとつの分岐点は「検定取消処分になるのか」ということになるだろう。Bモノのメーカー関与が立件できるなら問答無用で2項取消しとなるが、立件できようができまいが2項取消しとなる可能性があるということだ。大東音響は公安委員会の2項取消しについて処分取消しを求める訴訟を提起していたが、行政処分は裁判の結果より先に出るために、藤興の再出発が(訴訟によって)縮まるということはなかった。

ところで、ザ・ゴルフの導入店舗はただちに撤去した方がいいということになるのだろうが、撤去してもセーフかどうかは捜査本部が決めることだ。「店側がBモノと知っていて導入している」ことを疑われている店舗があわてて撤去すると「証拠隠滅を図っている」と、より疑われる可能性もなくはない。

ファースト関連の連絡が急増する中、「知らなかったホールはどうなるの?」という質問が今日は一番多い。しかしよく考えてみて欲しい。これは「ゴト行為」ではないのである。原則的には「知らなかったホールが悪い」ということになる。Bモノはそれがメーカー関与であれ、販社関与であれ「Bモノが流通することになっている機種」ということくらいは、業界で生きている人間なら調べればすぐわかること。この業界大不況のご時世に「Bモノとしての流通がある」機械を買うホールは自分の責任である。機械代等をいかに節約しようかというときに「知らずにBモノを導入してしまった」わけだから、財務管理上もバカである。ちゃんとしなきゃ。

事件の概要はこれから明らかになるだろう。ファーストの関与があったのかなかったのか、Bモノの実態はどれほどだったのか等々。まあ、この先どうなるか見ておきたいところだが、それにしても久しぶりのメーカー社長逮捕劇。まあ、今のところはそれ以上でも以下でもない。

余談だが、僕はファーストの大島社長とは一度会っている。そんな気がしたので探したら岡山時代の名刺を発見した。この頃は販社だったのだが、その後メーカーとなりパクリで物議をかもし、そしてBモノで逮捕されることになる。「若いやり手の社長」という印象だったが。

今のファースト。民間の信用調査会社によると、モルガン・スタンレー証券が株主にいる(約9.6%)。だからどうだという話だが「(デザイン)パクリ会社が(商標法違反)パクリ容疑で(ガサ入れ・逮捕状)パクられた」ということで、連絡してくるヤツらの多くが楽しそうに話しているのだ。これもデザインを敢えてパクってきた同社ならではのことだろう。しかしメーカー社長逮捕となると笑える話ではない。はてさて、これからどうなることやら。


POKKA吉田
Name:Pokka Yoshida
Age:over 30 years old
Sex:Male
Special Ability:talking
Peculiarity:much drinking and thinking
PrivateArea:Konoikeshinden - KadomaDanchi
         →Yoyogiuehara - Takenoduka
Hobby:Secret!
Fly the windy

2004年4月からフリーランスへ。ピー・ドット・ジェイピー運営責任者。
ぱちんこ業界の良心を目指して 【EX】ネタは手補給・手回収 を執筆。
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