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【EX】ネタは手補給・手回収

「宿痾」換金の怪行政(07/09/18)


そろそろ頃合かと思い、表題のテーマを取り上げる。実は業界では知られているようで知られていない謎の多い話だ。

通常本稿表題のような「警察行政の換金に対するネガティブテーマ」は、三店方式等によるぱちんこ換金システムを黙認している警察行政全般に対する批判として語られる。三店とは「ぱちんこ店」「卸し(賞品製造元)」「買場(賞品買取所)」と理解すればいいかと思うが、これはなぜ「三店」にわかれなければならなかったか。

風営法第23条では「現金・有価証券」の客への提供を禁止しており、さらに「客に提供した賞品の(営業者による)買い取り」も禁止している。これについて違法性を阻却(立場によっては『脱法』と言うだろう)するためには「ぱちんこ店」「賞品屋(卸し、買場とも)」の「二店」でいい。しかし多くの都道府県風営法関係条例・例規において「客に提供した賞品を(他業者に)買い取らせてはいけない」という「買い取らせ禁止規定」があるため、卸しと買場が同じでは条例違反となってしまうのである。

(なお、大方の三店方式は「書類上は別業者」でありながら実質の二店方式となっていることが多い。要するに「三店方式」といいながら、卸しと買場がくっついてるところが多いのだ)

#147では「三店方式が問題なのではなく、三店方式すらできていないこと(≒自家買い)が問題」としたが、換金問題としては「自家買い(=風営法第23条違反)」以外にも「二店方式(=条例の買い取らせ禁止規定違反)」という問題もある。

何より問題なのは「自家買い禁止=風営法(事実上警察庁の所管)」「買い取らせ禁止=条例(事実上都道府県警察本部の所管)」という二重所管の産物なのが「三店方式」だということだ。このため、ときと場合によって、(本来協調するべき)警察庁と各警察本部(及び所轄警察署)とのぱちんこ換金に関する行政アプローチがほころびることがある。

さて、業界関係者は、今年岩手県の動向に注目していた。岩手県警は換金に関する行政指導として岩手県遊協を中心に岩手県下のぱちんこ店に対して「一物一価の遵守」「(ぱちんこ店と)同一敷地内の景品買取所撤去」「景品自動払出機撤去」を求めていたからである。

(なお、「景品」とは法律上「賞品」と呼ぶものを業界が「景品」と呼んでるだけだ)

「一物一価の遵守」とは「等価交換違反をしない」という意味だ。もっとも換金レートの「等価交換」とは意味が違う風営法及び風営法施行規則の規定に基づく等価交換の原則である。詳細は#148を参照して欲しい。

「同一敷地内の景品買取所撤去」とは、これも#148を参照して欲しいが、要するに「買場が同一敷地内だと、自家買いと判断可能?」ということが根拠となる。「?」としたのは、この解釈は「店舗内」なのか「駐車場内」なのか等々さまざまあるからだ。

「景品自動払出機撤去」とは、要するに換金用景品(これを特殊景品という)が賞品提供されることを助長しているということが問題視され、その根拠は条例ということになっている。

【岩手県】風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例

第9条2項 法第2条第1項第7号の営業(まあじゃん屋を除く。)を営む風俗営業者は、前項の規定によるほか、次に掲げる事項を遵守し、及び従業者に遵守させなければならない。

(2) 当該営業に関し提供した賞品を客から買い取ることを勧誘し、又は援助しないこと


実は岩手県の風営法施行条例には前述の条例による「賞品買い取らせ禁止規定」はない。しかし上記施行条例第9条2項の規定に「景品自動払出機」が抵触するとしたのだ。

ぱちんこは周知のとおり「換金ナシでは成り立たない」店舗が圧倒的多数であるから、この岩手県警の行政指導は「換金ができなくなる前兆では?」と見ていた業界関係者が多かったのである。

この行政指導は昨年から今年にかけて継続して行われた。そして最近岩手県警が行政指導内容を一部緩和したのだ。業界紙などが報じているため業界関係者の間では広く知られたが「景品カウンターの中に景品自動払出機を設置して、ぱちんこ店従業員の手を介して客に手渡しする分にはセーフ」となったのである。

景品自動払出機撤去から一転、景品自動払出機設置アリの方向へ向かった。これによって岩手県下の多くのぱちんこ店は胸を撫でおろしたことだろう。一物一価など厳しいものはあるが、それは他県においても散見されるものでもある。他県の業界関係者も「いやあ、一時は換金できなくなる前兆かと思ったけど、岩手県警が業界のことを考えてくれて良かったね」とホッとしたに違いない。特に「景品自動払出機」の設置が進んでいるぱちんこ店の関係者は「自店に波及しなくて良かった」と考えているはずだ。

これで終わりなら三店方式の法的整合性の「宿痾」という意味でも、大した話ではない。もちろんこれで終わらないから今書いているのである。

「換金がなくなるかもしれない」ということで言えば、実はこの件ははじめから「関係のない話」なのだ。それはことの経緯を知ればわかることである。

正確な日時は失念してしまったのだが、今から1〜2年ほど前に、警察庁生活環境課前課長補佐が札幌に赴いた。このとき、なぜか北東北三県(青森、秋田、岩手の三県)の警察本部の幹部が招集され、前課長補佐から「換金用景品(特殊景品)」についてしっかりとした所管をしろと指示をされている。換金における行政テーマは多く、「自家買い取り締まり」を除いてもたとえば「当該賞品が汎用性を持ってない(=つまりぱちんこ店を中心に三店で還流しているだけ≒組織的な自家買い。もちろん同一敷地内とかも同じ理屈)」「等価交換違反(一物一価遵守という意味)」「等価交換違反(市場価格に対して等価交換になっているか→これはあまりにも高く(安く)出していないか、という意味)」など挙げればキリがない。

で、この前課長補佐の言動から岩手県警だけが突っ走ったのが今回の話だった。同じタイミングで指示された青森や秋田でこのような話には発展してはいないし、前課長補佐はその後いくつかの県にも同様の主旨の指示を出していた。

まずもって変な話だ。全国の警察本部の生活安全関係部署が集まる定例会議の席上の話ではなく、警察庁の課長補佐が北海道は札幌の地で北東北三県の幹部に指示しているのである。もちろん当該地である北海道警や札幌方面警察は対象外だ。しかも岩手県警だけが所管厳格化に向かったのである。

そこで「何か裏がある」と疑ってしまう。しかも、上手い具合?にひとつ心当たりがあるのだ。

他でもないが、#147の後半で紹介した「V-SYSTEM」というCD景品である。いわゆる「IT景品」であり、この開発元はかの松下電工ではあるが、企画元はY氏という人物だ。

このY氏は知る人ぞ知る人物で、景品関係の企画をずっと続けてきた人物だ。もともとは「換金需要の低下」をお題目にあげていたと聞くが、ある時期に取り組んでいた仕組みが「有価証券提供にあたる(風営法第23条)」ということで、Y氏の企画するシステムも少しずつ変貌していった(有価証券云々とは、景品としてポイントを客に提供しそのポイントで地域商店街などで買い物ができるように・・・という仕組みだったと記憶している)。

#147では愛知県名古屋市での導入について触れているが、その前段ともいうべきIT景品初導入は同県豊橋市で行われていた。Y氏以外にもさまざまな業界関係者(松下などは業界外の関係者といえるか)が集まり、彼らなりの換金に関する業界への提案を模索していたわけだ。

換金用景品市場を立ち上げるハードルの高さが理由なのか、このとき、IT景品関係者側は力技を用いる。彼らはまず警察庁生活環境課に仕組み等々の理解を求めるため赴いている。換金に関する問題であるから窓口としていきなり「これは合法です」とは言うはずはないが(明らかに違法な点があればそれははっきり言うだろうが)、その対応とは別に警察庁のトップも含めた幹部らや政治家にも働きかけを行っていたようだ。

警察庁や政治家なら驚くような話ではないが(よくある話だから)、内閣法制局の現職官僚というところに至ると穏やかではなくなる。内閣法制局は他省庁から見ると「各法令制定のとても高いハードル」である。要するに内閣法制局の理解が得られないと省庁提出法案等は難しいのだ。もちろん「穏やかではなくなる」とはいえ、政治家や各官僚らとIT景品関係者らの間に違法な金のやり取りがなければ、それが問題というものではない(贈収賄等がなければこのような話は問題とはならない)。

このような政治家、警察、内閣法制局らを相手取りロビイングにいそしみつつ、彼らは豊橋で「テスト」という名目で導入を果たした。その後豊橋のロケーションは終了し、名古屋のロケーションへと続いていった。

この頃、豊橋警察署長が不遇をかこつことになったと言われた(裏づけはないが、警察関係者の証言として一部流布されたものだ)。要するに当時の署長が「勝手に認めた」ということで左遷とウワサされたのだ。警察庁(生活環境課?)内の「合法とは言ってないだろう(実は違法とも言ってないのだが)」という思いと、庁内幹部や内閣法制局などの(生活環境課から見た)内外圧への思いと、両方あったのかもしれない。もちろん、このような状況からは、当の内閣法制局や警察庁の生活安全局よりも上の幹部らは、彼らの提案を容認していたと見るべきだろう。

で、このシステムが岩手県に導入されていたのである。その最中に札幌での奇妙な「庁→警察本部」という指示の動きである。岩手県以外の二県は事実上の静観で岩手県警だけが厳格な換金行政へと動く。しかもその岩手県警が行政指導を一部緩和した直後に警察庁前課長補佐は異動となっている。

普通に考えると、前課長補佐が岩手県警にIT景品の排除を画策した、ということが推測できるのだ。しかも岩手県警は県内設置済みだったIT景品に関して「サーバシステム費用の支払い」に関する違法(というか問題)という見解も非公式に出していたことがわかっている。この点は執筆するにはギリギリだが、どちらにしても岩手県警がIT景品に対して「好ましくない」という立場だったことは明らかなのだ。

その後岩手のIT景品はどうなったか?推して知るべし、としておこう。これが岩手の混乱の原因だとしたら、岩手のぱちんこ店はただのとばっちりだったということである。

警察庁と警察本部とで「協調するべき三店方式による換金(もちろん是であっても非であっても、容認も取り締まりも協調するべきという意味だ)」について変なことをしていることこそが「宿痾」たる部分なのである。現在はIT景品とY氏とは関係がないような話も聞いたが、それはどうであれ、関係者が「換金のあり方のひとつを提案する」という行為によって今回の岩手の事態が引き起こされたのだとしたら、警察組織の問題点はとても多いのである。なぜか?たとえば「手軽に安く遊べるパチンコ・パチスロってこんなものだ」と業界はロビイングに忙しかったのだが、ひとつ間違えれば同じような事態に発展していたかもしれないのだ(ロビー対象は同じなのだ)。

まだ、IT景品は残っているところがある。今後、あらたに当該エリアで変な行政運用を見ることになれば、この推測(もちろん執筆に耐え得る根拠は示したつもりだが)は確信に変わることになる。(庁も警察本部も含めて)警察行政はぱちんこ所管においても、もっと他にやるべきことが多いはず。いいのか?こんな「宿痾」を内包したままで。


POKKA吉田
Name:Pokka Yoshida
Age:over 30 years old
Sex:Male
Special Ability:talking
Peculiarity:much drinking and thinking
PrivateArea:Konoikeshinden - KadomaDanchi
         →Yoyogiuehara - Takenoduka
Hobby:Secret!
Fly the windy

2004年4月からフリーランスへ。ピー・ドット・ジェイピー運営責任者。
ぱちんこ業界の良心を目指して 【EX】ネタは手補給・手回収 を執筆。
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