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【EX】ネタは手補給・手回収

高射幸レクイエム(07/07/10)


最近、京楽産業の業績が目覚しい。遊技機製造業では圧倒的業績の三洋物産に唯一対抗でき得る状態で、ぱちんこメーカーは2強時代に入っているといっていい。

で、この京楽はリリースする遊技機の仕様が少しだけ個性的なのだ。

もう業界では気付いている人も多いが、京楽は他社製ぱちんこよりも初当たり確率が少しだけ高い機種を出している。冬のソナタ(1/317)然り、必殺仕事人(1/308.5)然り。さらには仮面ライダー(1/221.5)である。ウルトラマン(1/397)のような内規ギリギリの確率機も出してはいるが、現在も設置されている機種としては冬ソナ、仕事人の方がより支持されている。

最強メーカーの三洋も同じような動きである。スーパー海物語M55Wや大海物語M56のような1/369.5の機種よりも、後発のスーパー海物語in沖縄MTA(1/315.5)のシェアが高い。

確率が高いと確変継続率や出玉(ラウンド、カウント、賞球など)を削ることになるから、要するに主流となる機種の多くが、フルスペックよりも若干射幸性が低くなってきているのである。

ぱちんこメーカー組合の日工組は平成16年の規則改正のドサクサに乗じる形で内規を改正した。この当時は500分の1タイプ(大ヤマト2など)+最低賞球数3個という「射幸拡大の改正」であったが、その後、警察庁から再三の指導を受けることになり最低確率下限を400分の1(ちょうど400分の1はNG)とする改正を行っている。

それ以前にも日工組は平成14年に内規改正を行った(#018を参照)。最低賞球数を5個から4個に、時短100回搭載、下限確率を320分の1から360分の1へ、という「射幸拡大の改正」であった。さらにそれ以前にも同様の改正で例えば「確変継続5回リミット」の撤廃など、日工組及びぱちんこメーカーは射幸性が拡大することが市場拡大になると信じて疑わなかったのである。そうなったのは、当時のパチスロ爆裂機の盛況も要因だろう。

僕の記憶では、平成14年改正内規の中で、現在の京楽と三洋的な「若干低い射幸性」を狙ったのは三洋の海だった。当時は各社こぞってフルスペック(全ての大当たりに時短搭載)を出していたが、三洋は改正内規版海物語でハーフスペック(確変図柄にのみ時短搭載)を出した。その当時と現在と違う点は「平成14年内規では最終的に海も含めてフルスペック主流に落ち着いた(射幸性拡大で落ち着いた)」ということである。

最近のぱちんこ市場を見ると、新世紀エヴァンゲリオンの稼働低下が著しい。同シリーズは奇跡の価値はSFが主流だが初当たり確率は1/397.2と低確率機だった。このことは市場すなわちファンの支持が「必ずしも高い射幸性を追求した機種に集まるとは限らない」ことの証左だと考えている。

余談だが、三洋、京楽、SANKYOの違いは「京楽はコンテンツ力としては他社と比較しても飛びぬけた優位性はないが、同一シリーズ別バージョンのリリースがなく、高い確率による差別化を図っている」「三洋は可動役物など無理なハード開発をできるだけ行わなず、海という超人気コンテンツを有し海に強く依存している」「SANKYO系は可動役物、低い確率(高い射幸性)の追求、複数のバージョン機、などの路線でコンテンツ力は京楽とどっこい」と僕は見ている。販売価格の高さ、新枠の問題点(ハンドル、玉こぼれ)など難が多い京楽ではあるが、現状の開発企画の力量としては「京楽>>>三洋>>>>>>SANKYO>>その他」だと考えている。
特に評価すべきはバージョン機のリリースがないという点。盤面デザインが機種スペックをファンにしっかりアピールできるのはバージョン機リリースがない場合だけだからだ(バージョン機があると、スペック違いがわかりにくい)。SANKYOは新機種フィーバー倖田來未で京楽の販売価格を真似た印象が強いが、どうせ真似るならバージョン機リリースなしを真似てもらいたい。バージョン機リリースなしならセルデザイン違いも生きてくる。しかし、フィーバー倖田來未は2バージョンリリース予定だ。


また、最近甘デジ、デジハネなるタイプの機種設置に力を入れるホールが増えてきた。警察当局にゴマをするための行為ではなく、純粋に営業成績を上げるための導入だ。甘デジの稼働が良い店舗が増えており話題となっているのが理由だが、これも先ほどと同様「必ずしも高い射幸性を追求した機種に集まるとは限らない」ことの証左ではないだろうか。

低射幸性といえば、貸玉料金1円ぱちんこもそうだ。東京や北海道などで成功例の話題が広がり、真剣に検討しはじめたホールは多い。東京都足立区竹の塚の僕の自宅から徒歩2分のところにピーアークの1円ぱちんこがあるため、たまに行くのだが、たしかに稼働は良い。貸玉料金4円時代から知っている店舗だけに、1円貸しの集客効果がかなり高いのは現場を見て知っている。もちろん、売上減少要因があるため(当たり前だが玉単価が大幅減)、1円貸し営業が全てのホールに通用するとは思わない。しかしこれもまた「必ずしも高い射幸性を追求した機種に集まるとは限らない」ことの証左だ。

パチスロ市場も似ている。5号機の大ヒット機はいまのところアイムジャグラーのみ。この機種は4号機ノーマルAタイプ的なスペックだが、4号機ノーマルAタイプのトレンドとは異なるスペックが特徴的だ。設定格差は大きいのだが、全体的に(BBに対する)RB比率が高いのである。設定1など低設定ではその限りではないが、アイムジャグラーは5号機の中では大事に使うホールが多い。#235の僕の主張が受け入れられているとすれば、好ましい事態である(この機種の問題点は安い開発コストに見合わない販売価格だけか)。で、大事に使われるということは設定も高めになりやすく、RB比率が高くなるのである。

4号機ノーマルAタイプのBB:RBの関係について、多くの開発関係者の見るところの黄金律的比率は1:0.4である。RB比率が低いと差枚数スランプが乱高下しやすくコイン単価も上がり射幸性が高くなり、RB比率が高いと差枚数スランプが乱高下しにくくコイン単価が下がり射幸性が低くなる(同じ出玉率の場合)。それゆえ高設定でのRB比率が特に高いアイムジャグラーを否定的に評価したホール関係者もかなりいたが、北電子の狙った「少しだけ低い射幸性」が「現状では正解」なのである。

シェイク、青ドンなど、アイムジャグラーよりも高い射幸性を持つ機種は、現状でアイムジャグラーの足元にも及ばない。パチスロ252台のうち194台が「リングにかけろ(銀座の5号機)」というすごい店もあるが(こちら)、リンかけが20万台超えるという想定は常識的にはできない。つまり、「BB純増枚数やRT等の射幸性追求5号機は、RB比率の高いノーマルAタイプ的機種に敵わない」というのが現状での結論なのだ。

警察庁はこのほど、パチスロ5号機に関して、保通協型式試験申請時の添付書類関係の指導という形で事実上の規制強化を行った。たとえばRTのパンク回避(リンかけにもある)などが搭載されている機種については、諸元表に最大の出玉率を得ることができる遊技方法を記せ、というものだ。これについて、焦った日電協では対応が繰り返し協議されてはいるが、結局は「RTスペックに関する規制強化」という流れである。しかし、必ずしも焦ることはないのである。少なくとも今の市場の答えは「ジャグラー>RT機」なのだ。

緩めの射幸性をファンが望んでいる、という考え方はそろそろ成り立つのかもしれない。

一般的な商売では、客の絶対数が減少しているときは、より客単価を下げて客の絶対数を上げる努力をする。少数の客単価の高い顧客集客に努めるやり方はニッチ産業にこそ成り立つものだが、全国に1万店以上あるぱちんこ営業がニッチ産業なわけがない。当たり前のことだったのに「高い射幸性こそが収益の根源」と錯覚した業界定説がそのことを見えなくさせてしまっただけなのだろう。

射幸性と粗利益額は必ずしも比例しない。射幸性を低く抑えつつ、粗利益率を高くしても稼働が維持できる機種は過去にも存在してきた。銀行対策で見かけの売上げを維持しなければならないところ以外は、目標粗利益額が確保できれば、射幸性なんかどうでもいいのだ。そしてそれは今後のメーカー開発企画の狙いどころとなるだろう。

実は今年1月、日工組の会合に来賓した警察庁生活環境課の大塚祥央課長補佐(技官)は、組合員メーカーらを相手に自作資料とプロジェクターを用いて講話している。警察庁の技官がプロジェクターを使って話をすることは極めて異例(おそらく史上初)であり、その講話が警察庁の強い意志を示していることはいうまでもない。そして、その講話の内容は要約すると「射幸性を抑え」「不正改造されにくく」「わかりやすくて面白く」「販売価格が安い」機械の開発に取り組め、というものだった。机上の空論に陥りやすい官僚が、業界の現場よりも商売のことを知っているかのような話である。業界関係者はそろそろ「高い射幸性依存」の恥を知るべきではないか。

なお、京楽を筆頭にSANKYOなどが追従しているぱちんこ1台30万円超え販売。5号機も1台40万円超え販売が当たり前となりそうだ。あなたの言ったことを日工組ぱちんこメーカー(及び日電協他パチスロメーカー)はちゃんと聞いてはいませんよ@大塚技官

まあ、表題の件に戻して了としたい。京楽の仮面ライダーは射幸性市場への興味深い問題提起だ。まるで現金第1種全盛の頃の初当たり確率だが、この機種が長く使えるのであれば、市場内射幸性は確実に低下することになる。パチスロ5号機もRT搭載機の大ヒットもあり得るが、まずはRB比率の高いヒット機が登場したことを正しく評価しないといけない。RTパンク目押し回避のようなAT的試験騙しが通用しなく(しにくく)なったとしても、日電協各メーカーは焦らなくていいのである。むしろ、「少し射幸性を抑えたヒット機」を出せない、己の開発力のなさに焦るべきなのだ。

「警察の言ってる正論内で商売が成り立つはずはない」という考えが誤解に基づくものだと証明されるのはまだ先のことかもしれないが、市場のベクトルは警察の正論の方に向いているように思える最近である。証明は未来の市場に委ねるとして、それでも今、本稿を僕からの高い射幸性に対するレクイエムとしたい。


POKKA吉田
Name:Pokka Yoshida
Age:above 30 years old
Sex:Male
Special Ability:talking
Peculiarity:much drinking
PrivateArea:Konoikeshinden - KadomaDanchi
Hobby:Secret!
Fly the windy

2004年4月からフリーランスへ。ピー・ドット・ジェイピー運営責任者。
ぱちんこ業界の良心を目指して 【EX】ネタは手補給・手回収 を執筆。
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